『愛のむきだし』を観た。:今日も元気にカルト映画館~第100回

急遽差し替え




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あらすじなどはgooより
幼い頃に母を亡くし、神父の父テツと二人暮しのユウ。理想の女性“マリア”に巡り合うことを夢見ながら、平和な日々を送っていた。しかしテツが妖艶な女サオリに溺れてから生活は一変。やがてサオリがテツのもとを去ると、テツはユウに毎日「懺悔」を強要するようになる。父との繋がりを保つために盗撮という罪作りに没入していくユウ。そんな彼はある日、罰ゲームで女装している最中に、ついに理想の女性ヨーコと巡り合うが……。

鬼才・園子温監督が撮り上げた渾身のエンターテイメント。敬虔なクリスチャン一家に育った少年ユウが、運命の少女ヨーコとの出会い、謎の新興宗教団体と関わっていく姿を、237分の長時間にわたって濃密に描いていく。盗撮、パンチラ、カルト教団、女装などなど、作品内はかなり倒錯した、あるいは変態的な言葉や状況に満たされている。が、それらはキャラクターの変態性を物語るものではなく、「純愛」を描くための素材。その素材によって明らかにされたいくつかの愛のかたちから、「純愛」の輪郭が見えてくるのだ。西島隆弘、満島ひかり、安藤サクラら若手俳優陣が見事な演技を披露。約4時間の上映時間が驚くほど短く感じられる作品だ。


このコーナー、これで100回目になります。
記念すべき100回目は何にしようかなーとか自分で考えていて、下書きまで書いたものもあったのですが昨日この作品をDVD鑑賞しまして。
大変、マニアックな心を揺さぶったので急遽それと差し替えし、ここで紹介させてもらえればと思って書いたしだいです。

この作品の上映時間は、売りにもなっているとおり237分。4時間=240分なので、もうまるまる4時間と呼べるような作品なんですね。

最初は牧師の父親と幼い時に母親を亡くして父親(テツ)の手1つで育てられた高校生息子(ユウ)と彼ら中での信仰しているキリスト教の有り方みたいなものを語っているわけです。
そこらへんは流石に神父の家族と言ったところなんですけどね。

そして、あらすじにも書いたような展開になるとその「懺悔」のネタを求めて故意に些細な悪事を心がけるようになってくるのがユウ。
蟻を踏み潰したり、子供が遊んでいたボールを明後日の方向に蹴り飛ばしたり。
悪事と呼ぶには本当に些細なことから始めてくるが、それでは物足りなくなり、もっと大きなことを、もっと大きなことをと心がけるようになってしまうんですね。

そこからはもう4時間の映画が短いと感じるほどに畳み掛ける展開に。
悪事を心がける→DQNなお友達ができる→彼らとの付き合いの一貫で女の子のパンチラ盗撮行為をするようになる。→この盗撮を懺悔で告白するとテツにマジ殴りをされ、神父としてではなく父親の側面を見せてくれたことに対し、嬉しくなる→父親からも拒絶を喰らって教会の前で土砂降りの雨の中謎の女コイケとそこでは”ちょっとだけ”出会う。→ユウはDQN仲間との遊びの賭けで負けて女装しているときに1人で絡んできた複数の男性相手に戦おうとしていた女子高生のヨーコを助ける→・・・

キーになる登場人物はここまで出てきた5人。
テツ、ユウの親子と正確には母子ではないけれど、そんなようなもののサオリとヨーコ。そして、謎の女、コイケ。

彼らがタイトルの単語を借りるならそれぞれの”愛”に振り回したり、振り回されたり、利用したり。
その愛は家族の下にだけ宿っているものなのか、それとも信仰する神によってもたらされているのか。

なんだか小難しいような宗教道徳みたいなテーマになりそうなものだけど、小難しいお話にはならず、思いっきり正面から見せてくれる。それこそ、またタイトルの言葉を借りるなら”むきだし”で見せ付けてくれる。

ころっころと風見鶏のように気持ちを変えるサオリ。サオリを慕い、また女装したユウの姿である”サソリ”にレズビアンなのと自問自答しながらも恋するヨーコ。捨てられたのにやっぱりサオリを愛しくなるテツ。父親とヨーコに振り向いて欲しいのに願い叶わずモヤモヤしたままのユウ。そして、それらの交錯する愛を利用するコイケ。

そんな愛の揺れ動く様子を簡単に書いてみると、これって宗教は映画に必要なのか?とも思えなくもない。
でも、やっぱりキリスト教であったり、コイケ側のゼロ教会という胡散臭い宗教だったり、その手の設定は必要でしょう。

私もミッション系の大学を卒業したので、授業でもキリスト教概論は必修科目でしたくらいだし、もちろんキリスト教というものを信仰する人などをよく間近にしてきた。そして、悩み事があると「祈りなさい」と言われていましたっけ。

だから何となく彼らがそういうものに縋るということはこのような形式で表れるのかなと。
彼らがいつもそれぞれの信仰について語り、私が聞かされる時にはいつもやっぱりその人だけ目がキラキラしています。それもまた”むきだし”の表情なのかもしれませんね。

ちょっと話が逸れましたが、そんな人たちの気持ちに付け入るのがコイケというゼロ教会というカルト宗教の幹部である女なんですね。

『自殺サークル』など園子温監督はよく巨大な組織との対決みたいなものをテーマにするよなあとふと思った。
やっぱり、愚かなほどストレートな愛が目立つのも、人と人の愛の繋がりを埋めてしまうような組織の中にあるからッ映えるのかなと思ったり。
園子温監督の作品が概して面白いなあと感じる時はそういう映画だったりするかもしれない。
”対決”までとはいかないが、一時期そんなレジスタンスチックな気持ちになっていたある意味で多感な経験をしていただけにそう思うのかもしれない。

まあ、それはともかくそのような組織に刃を立てるのがユウ。
そのユウがヨーコを求める気持ちはその愚かなほどの直球。ストレートそのもの。
彼女の存在以外で勃起したことがないという設定もあまりにも愚直で清々しいくらいだ。

この映画は4時間もあるが、あまり難しいことを考えなくてもいい。
ただただコイケに翻弄されていく2組の家族4人の姿を力を込めて覗き込めばいい。

劇中で盗撮を行うユウは”変態”と罵られる。
そんなユウでなくても、変態に陥った気持ちになり4時間、こんな作品に付き合ってみるのもいいのではないかと思うのです。

「俺は至って普通だよ。」
と自称する人も多いと思うがそんな人でさえも潜在的に持ち合わせる変態的な性質を興味本位でいいので覗き込んで見てください。

そんな映画でも観てしまうと、観てる最中に・・・観終わった後に周囲をキョロキョロと眺めて見ると、どこもあそこもここそもそこも。何だか人と人の繋がり、愛ってものに改めて気づかされると思いますよ。


映画だからこそのオーバーアクション。間違いなく”映画”だからこそのストレートな表現。
だから、この映画に登場している人物の心境なんかわざわざ深く考えなくてもいい。そんな感じのパワーが集約されているかなり力のこもった一作になっています。

今年のお薦めベスト候補ですね。大好きです。


追記:
そうそう、こんな熱い作品を盛り上げた主演の2人が西島隆弘、満島ひかり。
AAAというエイベックソのゆとりダンスユニット?みたいなイメージしかないグループの中の人の西島隆弘という男の子と、元Folder5とかいうこちらもまたスピードの二番煎じみたいなイメージだったグループ出身の女の子なわけです。
そんな偏見もあったからか、不安に思っていたのですけどすぐに不安なんか吹っ飛びましたね。2人とも素晴らしいです。今後も注目してあげたい役者として覚えておきたいですね。



・評価:★★★★★★★★★★
     ★★★★★★★★★★ (20)
・公式サイト


・芸術ぽい度:★☆☆☆☆
・理解不能度:★★☆☆☆   
・キ●ガイ度: ★★★★★  
・グロゴア度: ★★☆☆☆
・下品汚物度:★★☆☆☆  
・おバカ様度: ★★★☆☆ 
・御エロ様度: ★★★☆☆



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この記事へのコメント

ぱたた
2009年12月09日 17:00
ようやく2枚組レンタルで観ましたよ。内容がアレなので家族が寝てからヘッドホンで。
確かに4時間あっという間でした。気がつけば早朝ですよ。。
劇場公開時ってインターバルあったのですか?
様々な映画のオマージュもありましたがパワフルさに圧倒されましたよ。
主演の二人、これから伸びそうですね!
かつを
2009年12月09日 18:24
>ぱたたさん

本当に4時間あっという間ですよね!もう12月なので私的ベスト20を決める時期になりますが、この映画はかなり自分の中で得点高いです!

この3流アイドル崩れの主演2人は素直に役者でやっていけますよね。
今後、大注目の2人だと思います!

あと、やっぱり園子温の演出の力もやっぱり改めて凄いと痛感させられますよね。


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