『キャタピラー』を観た。:今日も元気にカルト映画館~第106回

僕のエントリーで一番アクセスがあるのが『肉だるま』の記事です。(注:リンク先、微グロ注意)




画像

<2010.8.23 ヒューマントラストシネマ有楽町 にて鑑賞。>
あらすじなどはgooより
一銭五厘の赤紙1枚で召集される男たち。シゲ子の夫・久蔵も盛大に見送られ、勇ましく戦場へと出征していった。しかしシゲ子の元に帰ってきた久蔵は、顔面が焼けただれ、四肢を失った無残な姿であった。村中から奇異の眼を向けられながらも、多くの勲章を胸に、“生ける軍神”と祀り上げられる久蔵。四肢を失っても衰えることの無い久蔵の旺盛な食欲と性欲に、シゲ子は戸惑いつつも軍神の妻として自らを奮い立たせ、久蔵に尽くしていく。四肢を失い、言葉を失ってもなお、自らを讃えた新聞記事や、勲章を誇りにしている久蔵の姿に、やがてシゲ子は空虚なものを感じ始める。敗戦が色濃くなっていく中、久蔵の脳裏に忘れかけていた戦場での風景が蘇り始め、久蔵の中で何かが崩れ始めていく。そして、久蔵とシゲ子、それぞれに敗戦の日が訪れる……。

1960年代の日米安保反対闘争から72年のあさま山荘での銃撃戦へと至るあの時代、若者たちの生き様を描いた『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』から2年。静かな田園風景の中で、1組の夫婦を通して戦争の愚かさと悲しみを描く、若松孝二監督の新境地と言える作品が完成。シゲ子を演じるのは、『赤目四十八瀧心中未遂』『ヴァイブレータ』の寺島しのぶ。本作で、第60回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞を受賞した。(作品資料より)


お~これ~みんなキチガイっすなぁ~(笑)(←「肉だるま」のアクセス数について)
でもアクセスした人の中にもいざ、このビデオを目の前にして「いややっぱり遠慮しておく」って人もいると思うんですよ。でも、調べてみたい・・・ってのが好奇心ってもんで。
その一部の人が好奇心を寄せやすい映画と個人的にはカルト映画と思ってるわけです。ええ”個人的に”ですよ。

で、カルト映画って定義はあるようで無いといつも言っているのですけど、既にカルト的な扱いになっている映画を書かせてもらうこともあれば、新作映画などではまあ今後カルトっぽい存在になっていくんじゃないのかなーっていう見込みもありで書いているのがこのコーナーなわけです。
あくまでも”見込み”ですよ、”見込み”。
「てめー、これのどこがカルトなんだよ。言葉を安売りすんなよ!」って意見もある方もいるかもしれませんが、中二みたいにその辺を議論するつもりはないので、とりあえずこちらが「勝手に語って申し訳ない」としか言えないんですけどね。

まあその辺はどうかご容赦いただければと・・・。
(とりあえず予防線はこのようにいつも張ってるので、その点のツッコミ書き込みは一度も無いんですけどね。もし、あってもコメント反映はしないかもです。)


と、予防線が長くなりましたが今回紹介する映画は『キャタピラー』。
寺島しのぶがこの映画でベルリン映画祭の主演女優賞を獲得したわけですよ。

戦争で両腕両脚の無くなった男とその嫁の話って程度の知識はありました。
そのあたりの話を聞いて、読書嫌いの私が過去にちらっとかじった様な記憶のある乱歩の短編を思い出したのです。『ジョニーは戦場へ行った』も高校生くらいの時に読みましたし、なんていうか中学・高校の友人のK本君たちの影響もあったのでしょうけれど、そういうものに興味があったのでしょう。
この作品の原案は知っていました。

あくまでもですけど、乱歩側の家族と若松(監督)側の権利使用のことで折り合いが付かなかったとか何とかがあったとか、だから乱歩の名前を出さずに公開したとか一部で囁かれていたりしますが、正直もう人生の半分以上前の読書の記憶なのでいつもの原作未読の時と同様、そのへんのオリジナルがどうとかは、私には正直どうでもよいです。自分の目で直で観た印象が大切なんですよ。こういうものは。

そんなわけでヒューマントラストシネマという初めて行った有楽町のミニシアターで見たのですが、のっけからインパクト大きかったですよ。

もっとも、そうでなければその設定のために多くの人が興味のアンテナびんびんでこの作品を調べたりすることも多くなかったはずです。(だからこのカテゴリー紹介にしましたし)

のっけから戦争で負傷し自宅に戻ってきた黒川久蔵。オープニングの流れでは彼の姿を見せないんですよ。
ただ、家族の絶句した顔と「いやぁあああああああああああ」と絶叫して家の外に飛び出して水を張った田んぼで泣き崩れる嫁というシーンで始まる。

そして、その悲しみの的になっている当人、黒川久蔵の姿が映し出されたところでタイトルが出てくる。
その久蔵の姿は顔の右半分が焼けただれていて、両腕、両足は肘、膝のところで欠損している。そしてこのカットだけではわからないが、耳もやられていて殆ど音が聞き取れず。また、脳をやられたためか、喉に傷があるのでそのせいなのかわからないが口も殆どきけず。

劇中でも言われてましたが、本当に肉の塊として帰還してきたわけです。

この映画で面白いなーと思ったのが、普通はここで最初は愛情でなんとか乗り切ろうとするじゃないですか。
でも、違うんです。明らかに嫁のシゲ子には久蔵に対しての嫌悪感しか感じられないんです。

腕脚、耳と口の機能を失ってもやることだけはやります。シゲ子のモンペの紐を加えて脱がそうとするとシゲ子もそれに応じて彼の性の捌け口になってやったりするのですが、それでも仕方なくというか世話することが御国のためになると周囲の人にも噴きこまれていたこともあり、しぶしぶ応じてるというか。

その流れで、この時代の負傷者は勲章を与えられ、名誉とされているところもありまして。久蔵も新聞に生きる「軍神」と持て囃されてるところもあって、シゲ子もその夫の勲章に対する評判だけを生きがいに日々農作業と久蔵の介護に費やすだけだったんですね。

身動きも取れず、意思の疎通も十分にできない。そのくせ態度が大きくいつでもシゲ子を困らせる久蔵。
そんな久蔵に対して、シゲ子もついにため込んだストレスが爆発しはじめて・・・。

という感じで終わりまで一気にいきます。


この映画。公開からちょっとだけ時間が経っているので少しばかり周囲の評判というものも聞こえてきたりするのですが、概して乱歩の『芋虫』との比較ばかりなのがメインで、パクりだの、パクってばかりでもないだのの論争。また、パクり論争の一方で監督が反戦ということを掲げているのでウヨサヨの論争とかサイトで勃発していたりと、まあそこを摘まみあげると色々と面倒くさい要素が満載なのであまり触れたくないのですが(苦笑)、あくまでも個人的な感想だとやっぱり監督の言うように反戦映画だなぁという気持ちはあります。

まず、戦時中の映像を多用し、当時の日本の雰囲気というものを観ている平和ボケしている我々にもまずはわかりやすく見せてくれていると思いますが、やっぱり何よりも強烈に見せつけられるのが戦争の”被害”そのものである久蔵の姿だろう。そして、多くの人は介護せざるをえないシゲ子の気持ちを汲むことでしょう。

原爆で死に横たわる死体。絞首刑で死ぬ戦犯。
記録映像で見れるそれらの悲惨な姿よりもやっぱり久蔵を見ると単純な感想になるけれど「こうはなりたくない。」「周りの人がこんな姿になってしまったら。」と思うはずです。
その単純な発想こそが反戦の気持ちの1つなのではないでしょうか。


そして忘れてはいけないのは戦争云々の中にある夫婦の姿。
久蔵が戦争に行く前、後。
特別仲がいいわけでもないが、どこかにあるその夫婦像。その夫婦をこの背景に投影するとこういうことになるというのも、どこかリアルで中々これもまた興味深く仕上がっており、この作品をより忘れがたいものにさせてくれるピリリと辛いスパイスになっているんですね。


ということで、良い映画というかすんごいインパクトの強い映画だったわけです。
何より主演の2人久蔵役の大西信満、そして嫁役の本作でベルリンで賞まで受賞した寺島しのぶ。
この2人の演技が半端ない!!寺島しのぶの脱ぐ演技ばかり注目されがちだけれど、彼女の1つ1つの大げさすぎない微かな表情の演技。これに注目してほしい。
注目すればするほど、圧倒されて本当にすごいと思えますので。
あ・・・寺島さんは私とほぼ同じ世代ですけれど、彼女の脱ぎっぷりには本当に興味ないんでそういうことを抜きにしていいますけれど、本当に演技力はすごいです。是非注目してください!


そんなわけで観てきた凄い重い一作でしたが、これはみんなに観てほしいですね。
ただ、記述のように色々と論争呼びそうな作品ではあると思いますが、ご自身の感想でどこかでこの映画を語ってほしいものですね。
その感想を私が「どういう意見があるのか?」と読みに行くのもまた楽しみにしています。


ということで、強烈な映画だから後々カルト扱いされていくと思います。あくまでも予想ですけどね。





P.S.
先日、購入しておいて数年観ずにとっておいたDVD『ジョニーは戦場へ行った [DVD]』を観ました。もちろん、『キャタピラー』鑑賞に備えて類似作品を観ておきたいってことで今やっと封印を解いたわけなんですけどね!
で。これも戦争で両手両足、そしてアゴから下を欠損し、また視覚・聴覚も失った兵士の話なのですが、1970年台ということで時代もあったせいか、ビジュアル的には悲惨さを訴えかけるものがなかったのですが、これはこれで戦争の悲惨さをもの凄く訴える作品になっていると思います。かなりの良作であると思います。

いい作品なのですが、だるま映画としてはやっぱり設定のインパクトが強くてもビジュアルインパクトが弱いので、またまたこれは何かの機会で紹介できればいいなとは思います。




・評価:★★★★★★★★★★
     ★★★★★★★☆☆☆ (17)
・公式サイト



・理解不能度:☆☆☆☆☆   
・キ●ガイ度 :★★★★☆  
・グロゴア度 :★★★☆☆
・下品汚物度:★★★☆☆  
・おバカ様度 :★☆☆☆☆ 
・御エロ様度 :★★★☆☆



【本作品】2011.10.20追記




【関連作品】








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この記事へのコメント

和歌山マル子ラーメン
2011年02月18日 13:18
はじめまして、お邪魔します。若松孝二監督作品に興味あります!が、しかし今迄見た物は若干、意味わからず!レンタルして再度、感想、送らせて下さい!
かつを
2011年02月20日 00:44
この作品はたぶん難しいことは無いとおもいますので大丈夫ですよ!

私も若松作品観たいんですよね。でも、なかなかコアな若松作品はレンタルになってないという・・・。

買おうかどうか迷っちゃいます!

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