『KOTOKO』を観てきました。

現時点では今年No.1と呼んでいい作品かもしれません




画像

<2012.5.28 銀座シネパトス にて鑑賞。>
あらすじなどはシネマトゥデイより
チェック:シンガーソングライターとして熱狂的人気を誇るCoccoと、『鉄男』シリーズや『六月の蛇』などで国際的にも高い評価を得ている塚本晋也の鬼才二人がタッグを組んで放つドラマ。幼い息子を愛するあまりに精神のバランスを崩してしまったシングルマザーと、そんな彼女に対して狂おしくも真摯(しんし)な愛を注ぐ小説家の行く末を、鮮烈なタッチで映し出していく。生を感じようと自らの肉体を切りつけ、現実と虚構の間をさまよい続けるヒロインをCoccoが熱演。映画初主演とは思えない鬼気迫る演技と圧倒的存在感に、心をわしづかみにされる。

ストーリー:まだ乳児である息子を女手ひとつで育て、愛し抜かなければいけないという強迫観念にとらわれ、精神的な変調を抱えるようになってしまった琴子(Cocco)。その果てに奇行を繰り返した彼女は幼児虐待を疑われてしまい、沖縄にいる姉に息子を預けられることになる。そんなある日、彼女のもとに小説家の田中(塚本晋也)が現われる。沖縄行きのバスで乗り合わせ、車中で口ずさむ姿や声に惹(ひ)かれたと語る田中を激しく避ける琴子。それでも思いを伝え続ける彼を受け入れ、息子と共に3人で生きようと決意するが……。



いやー。すごい映画でした。
正直、シネパトスの回数券残ってるから消化しなきゃってくらいの気持ちで観に行ってきたんですが、観た後に本当にぐったりと疲れてしまうほどの感触を味わいました。

シングルマザーとして赤ちゃんの大二郎と2人で暮らす琴子が主人公なのですが、この琴子はすぐに精神が病んでる人だというのがわかります。
琴子は恐らく統失なのでしょう。
その被害妄想っぷりが凄まじく、またその彼女の精神状態をあらゆるノイズを最大フルボリュームで表現するので見ている客にしても素直に「うるせえよ!」って頭の中でお怒りになっていたに違いないほど過激にそしてストレートに伝わってくる。

子供への愛情が深いあまり、ちょっとやそっとで狼狽して近所迷惑など考えずに叫びまくるわ、物に当るわするでその手の病に掛かったことの無い人には理解しにくいところはあると思う。いや、私もそういう病に陥ったことはないけれどもそういうものだろうとこの塚本監督の演出で正に体感させてくれるんですね。
赤ちゃんを抱いていると、通りがかりのおばさんが「可愛い」って笑顔で声をかけてくれるものも、あらゆる人が2つに見えて、険しい顔で警戒して息子を守ろうとしてしまう。東京のあらゆる雑音から逃げたがる琴子。何でもかんでも過剰な母性本能で動く彼女はやはりなかなか常人では理解しがたいものがある。

そして子供を抱いて重い中華なべで炒め物をするシーンがあるのですが、フライパンを豪快に返しながら料理をするので危なっかしくって見ていられない。その中華なべをまたどこかに投げつけるシーンなども見ていて辛い。

私がリアルで交流してきた人にも正直何人かは病んでる人などもいるのですが、彼・彼女らは総じて「理解してもらえないからほっといてほしい」と言うのですね。
でも、私はその人たちが好きで交流してる間柄なのだからほっとけなくて、でも相手は深く沈んでる時にはそれを拒んで・・・。

リアルでそういう経験をしてきただけに本当に見ていて涙目になるほど辛い映画です。

そして、その私のようなお節介をするような男、田中が琴子の前に現れるのです。
彼はバスの中で琴子が独りで気ままに唄ったその唄とその歌い手に一目ぼれし、ほぼストーカーみたいに彼女に近寄ってきては求愛する。ボコボコになぐられるわ、フォークをぶっ刺されるわで琴子を傷害事件で突き出すほどができるほどまでの仕打ちをうけながらも田中は耐えて彼女を受け入れる努力をしつづける。

ここまで身を滅ぼすほどまでに相手を受け入れられなければならないものなのだろうか。
私が今まで接してきた中でそのような人は数名付き合いがありましたが、やはり相手を気遣うあまりそのままにしてきたようなところもある。
でも、田中のように本当に「献身」という言葉が合うまでの労力は費やせないだろうし、やはり自分もできれば楽でいたいから、自分も守りに入りたいところもあるからやはり「理解してもらえないからほっといてほしい」と言われてしまうのも仕方ないのだろうか。

この映画を見ながら色々思い返したり、そして自問自答しながら果たしてこの田中の行動は正解なのか?ということも頭に置きながらこの映画の行く末を見続けた。


そして、田中の想いが通じて2人は・・・いや、大二郎も含めて3人は一緒に暮らすことになる。


一緒に暮らし始めて、相変わらず田中を雑に扱う琴子ではあっても、そのあしらい方にも愛情がこもってくるようになってきた。そんなある日、急に田中は琴子の目の前から姿を消してしまい・・・・。


この先は恒例の”伏せ”でいきます(笑)


それにしても、「すごい」作品でした。
冒頭にも書いたようにぐったりとした疲労感を味わえるような作品。
リスカ未遂で自傷を繰り返し、赤ちゃんの大二郎以外は全て敵のように睨みつけ、そして吼える。
もう、ホラー映画と呼ばれても仕方ないくらいの怖い面もある。
これを、あの塚本晋也監督が演出するのだから尚更そういうところもあり(苦笑)・・・。

そして、もう1つ特筆すべきところは主演の琴子を演じるcoccoに尽きます。
歌手として・・・というより、歌手としての活躍が有名な彼女ですが(なんか絵か何かも上手いんでしたっけ?他の活動はあまり知らない)、その歌手のcoccoの演技が「え?地?」と思えるほど凄まじく見るものを圧倒させます。
まぁ、もともと変なキャラの彼女なのですけれどもね・・・(苦笑)
でも、本当にそれくらいの「リアル」を感じるんです。彼女の演技には。

そのcoccoの演技力、そして『鉄男』などのように爆音使いながら過激に魅せる業のある塚本監督の演出。
この作品における最高の2つの才能が重なり合って生まれたこの作品。
間違いなく一生忘れることのできない作品になりました。

ただ、先日紹介した『イレイザーヘッド』同様、精神的に病んでる人にはお薦めしません。
映画に飲み込まれる恐れがあるからです。

逆に言わせて貰うとそれほど凄い作品だと思います。
まだ6月末で今年の半分が過ぎようとしてるところではありますが、今の時点では私の中では今年No.1な作品かもしれませんね。


ということで、覚悟のある人にはお薦めです。




・評価:★★★★★★★★★★
     ★★★★★★★★★★(20)
・公式サイト


【本作品、関連作品】








メンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト 2種 ラインケアコースメンタルヘルス・マネジメント検定試験公式テキスト 2種 ラインケアコース
大阪商工会議所

中央経済社 2009-06
売り上げランキング : 13499

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 1

なるほど(納得、参考になった、ヘー)

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック